あなたがこの記事を読んでいるということは、手汗に悩んでいて、手術を受けようかどうしようか悩んでいるんだと思います。
手掌多汗症の手術を受ければ、手汗はほぼ止まります。
しかし、反対に代償性発汗という後遺症を患うことになるのです。
今回は手掌多汗症手術を受けることによってやってくる、メリットとデメリットについてご紹介していきます。
手術を勧めるものではありませんが、なにかのお役に立てればうれしいです。
手掌多汗症はマイナーだった
私が絶賛手汗出てます期には、手掌多汗症なんて言葉は世に知られておらず、それはそれはマイナーな疾患でした。
親や仲の良い友達に手汗のことを話しても、理解してもらえないことがほとんどでした。
しかし2023年、久光製薬のCMで二宮和也さんが、手掌多汗症を啓発されている姿を見て、
「あぁ、手汗の認知度もここまできたのか・・・」
と感慨深くなったものです。
手掌多汗症の手術を知る
さて、私が手術を決意したのは、2010年8月のこと。
当時はマイナーな疾患なので、「手汗をどうにかしたい」という思いで、とにかくインターネットで調べまくる日々でした。
手汗の治療といえば、塩化アルミニウムや外用薬で発汗を抑えるものが主流でしたが、それらは一時的な効き目のため、継続して治療をおこなわなければなりません。
なにより、手汗で悩んでいる人は、手に刺激が伝わるだけで手汗の分泌が加速します。
私もハンドクリームを塗るだけで、違和感で手汗の分泌が増えていました。
ですので、手に何かを塗って発汗を止めるという方法は、問題外でした。
そこで見つけたのが、手掌多汗症手術です。
手掌多汗症の手術は脇の一部から内視鏡を入れて、手汗の分泌と関係している神経を切るものです。
運が良いことに、手掌多汗症を専門に手術されているクリニックが、自分の生活圏内にあったため、一度受診することにしました。
初診で手汗の状態を診られ、手術をするレベルと判断されたため、即手術日が決まり、晴れて手術を受けることになりました。
代償性発汗は100%発症する
手術前の注意事項として、再発は1~5%
後遺症である代償性発汗に至っては、なんと100%の確率で発症するということを伝えられました。
「なるほど、100%か・・・」
代償性発汗は絶対やってくる後遺症だとわかりました。
しかし、手汗の苦痛に比べればなんてことはない、ということで手術を受けることを即決したのです。
手術後、しっかり代償性発汗ははじまりました。
夏場の発汗量はすさまじく、胸あたりと背中からとめどなく溢れてきます。
大粒の玉の汗が、おなかや背中をツーーッとつたってくるのです。
大げさかもしれませんが、主観だと常人の500%以上発汗していると言いたいくらいのレベルです。
手掌多汗症手術のメリット
手掌多汗症の手術は日帰りででき、金銭的・身体的負担が少ないのが魅力です。(保険適用なので3割負担です)
手術が終わり目が覚めたら、手汗が止まっています、しかもほぼ一生。
では、私が思いつく限りのメリットを列挙していきます。
- テスト用紙・書類などの紙類がふやけない
- ペンや鉛筆を持つ手が滑らない
- お釣りをもらうとき、手の平がキラキラしていないので恥ずかしくない
- 銀行などのタッチパネルに水滴がつかない
- スマホの画面が滑らない、汗の跡が残らない
- パソコンのキーボードを打つとき滑らない、マウスも濡れない
- 人から気兼ねなく何かが借りられる、共有できる
- 手汗を拭かなくてよくなるので、洋服が汚れない
- 袖が手汗や汚れで黒ずまない
- 金属のものが錆びない
- ゲームのコントローラーが水没しない
- 人とハイタッチができる
- 好きな人と手がつなげる(これ一番大事!!)
挙げたらきりがないほど、メリット盛りだくさんです。
デメリットは代償性発汗
手掌多汗症手術によるデメリットは、なんといっても代償性発汗です。
これは、手術の後遺症であり、出るべき手汗が出なくなった代わりに、他のところから発汗するものです。
発汗場所は人によって異なりますが、おもに胸、背中、おなか、太ももなどから発汗します。
夏の暑い時期に爆発的に発汗量は増えますが、冬でも厚着をしていると玉の汗が噴き出してきます。
また、緊張しているときにも、発汗量は激増します。
それでは、代償性発汗によるデメリットを列挙していきましょう。
デメリット・夏編
- 夏場は体感で常人の5倍以上汗をかいている
- 着替えが必須になり、荷物が増える
- 汗で濡れた洋服をビニール袋で保管していると、湿度と暑さで発酵して臭くなる
- 発酵した洋服の除菌で苦労する(普通に洗っても雑菌は落ちない)
- 汗で洋服の色が変わるため、着る服、素材、色にとにかく気をつかう
- 速乾性ポリエステルの洋服ですら乾く暇がないほど発汗する、乾いたとしても塩がうく、そして臭くなる
- ズボンまで濡れるから、おもらししたみたいで、ものすごく恥ずかしい
- リュックで背中のびしょ濡れを隠しても、お店でお金を払うときに後ろの人に丸見えになる
- 冷房の効いた空間に入ると、濡れた洋服が一気に冷やされ風邪を引きそうになる
デメリット・冬編
- 冬でも暖房の効いた部屋にいると、夏並みに発汗してくる
- 就寝中は寝汗が激増して、布団とパジャマがびしょ濡れになる
- パジャマが濡れると、寒くなって起きる
- 着替えてもう一度布団に入るが、目が覚めてしまうこともあり、寝不足になる
- 寝汗で布団が湿り、結露で床まで濡れてしまう
- 油断すると布団と床にカビが生える
- 寒すぎると首から異常発汗する(多分私だけ)
このようなデメリットが代償性発汗によってもたらされます。
デメリットを凌駕するメリット
夏場は人並外れた超人的な大汗かきになるため、本当に苦労します。
しかし、手汗を経験した身からすれば、このくらいの苦痛、なんてことはありません。
特に、青春時代や恋愛期に、手汗は邪魔なものでしかありませんでした。
手汗が出てて良かったな、と思うのは、スーパーの袋がストレスなく開けれたことくらいです。
そんなメリット、ほぼ必要ありません。
手掌多汗症の手術は私にとっては、間違いなく有益なものでした。
しかし、手術によって切ってしまった神経は元には戻りません。
代償性発汗とは一生付き合っていかなくてはならないのです。
もし、手術に迷っているのであれば、もう一度自身の手汗と手汗以外から出る大量の汗を想像して、天秤にかけて考えてみてください。
我慢できそうな手汗であれば、無理に手術をしなくてもいいと私は思います。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。